茹でがえるって言葉がありますが

これはそこそこあったかい湯に蛙をつけておくと、いつの間にか煮えて死んでしまうって話らしいです。良く分かりませんが、物凄く熱い湯だと危険だって鍋から飛び出そうとするのに、ゆっくりと進むと対応できないって意味と理解しています。

それと滑稽な没落貴族って物語に良く出て来るじゃないですか。既に没落しているのにかつての豪奢な生活にこだわり続ける貴族が。既に金がないのにあの頃の生活が忘れられないって人が。

また物語に良く出て来る悪徳業者がいます。ただより恐いものはないって言葉があります。最初に無料もしくは格安で商品を売りつける。それを長期に渡って続ける。その後で値段を釣り上げるんです。そうするとその商品ありきで成り立ってる社会は混乱します。

もし今の日本の物価高を不当と思っている人がいるのであれば、その人はきっと茹でがえるであり没落貴族であり悪徳業者に騙された人でしょう。

円高の時代ってのはそういうことですよ。円高の時代は安く物が買えた。それによって良い生活が出来た人がいたかもしれない。しかし円高の時代に日本の産業は衰退し続けた。生産拠点の海外移転が進んだ。茹でがえるの状態だったわけです。

日本の為替水準ってのは日本が勝手に決められることじゃないんですよ。日米貿易摩擦があって有名なプラザ合意ってのがあったようにアメリカの意向が強く反映される。つまり日本は自分の意志で円高と円安を決められないわけで、どちらの状況にも対応できないといけないわけですよ。別にこんな話がなくても、円高と円安の両方に対応できなきゃならないなんて当たり前の話ですけど。輸入する原油も食料も原材料も何もかも日本だけで価格を決められることじゃないから。

台湾の TSMCアメリカやヨーロッパや日本に工場を作るわけですけど、これも日米貿易摩擦で日本がアメリカに工場を作った話と似てるんじゃないですか。圧力があったって報道は聞いてないですけども。アメリカってのはそういうことができる国なんですよ。他国に介入して自国の意思を通せるんです。だから日本はアメリカの属国なんですよ。米軍基地も沢山あるしさ。ただし反米感情を煽ってるわけではない。現実を知ろうって話だ。俺も昔はアメリカの干渉がうざったいと思ってましたが、今では尖閣問題などの諸事情を鑑みてやむを得ないって理解です。アメリカに真っ向から抗議していた自民党議員が不審な首つり自殺をした事実も忘れられないことです。

なぜ今は円安なのかって言うと、それは俺には分かりませんが、日本は円高時代に乱立した企業を整理して潰してましたが、それが一服したってのがありそうです。後は生産拠点の海外移転が進んで、それがアメリカなどから合格点をもらったってのもありそうです。アメリカに敵視されなくなったのもあるでしょう。冷徹な覇権国家アメリカは二番手を潰します。昔の二番手であり標的だったのは日本でしたが今は中国に矛先が向いています。後は天の時とかですか。今このタイミングで円安に舵を切るべきだって判断したんじゃないですか。合格点は既に貰っていて、後はタイミングの問題だった。そしてタイミングが来たって感じ。そんな雑な理解を俺はしていますよ。

なのでもし今の円安で日本が潰れるんであれば、そこまでだったってことだと俺は理解します。まあ潰れることはないでしょうけど。ずっと茹でられて、格安輸入中毒にされて、貴族生活中毒にされて、それを今ひっくり返された。これに耐えられないようでは先はないんじゃないかな。いつか通る道ですよ。先延ばしすればするほどに噴き出す血の量は増える状況になるはず。

円高路線って考え方は確かにあるんです。ただ俺は好きになれない。それだけですよ。それにしたって夢物語としか言いようがないですが。何せ円高と円安を自国の意思で決められないんだから。

円高路線が何をもたらしたって、そりゃバブル後の不況を見れば大体はわかるじゃないですか。就職氷河期ですよ。しわ寄せは主に若者に来てた。俺の世代は正に氷河期でした。それ以外にも働けない人は沢山いたでしょう。定年退職した高齢者も自身の技術を活かし続けたいんだ働き続けたいんだって言って、中国や韓国に自身の技術を売り込んでしまうし。

円高デフレは優秀な人間にとっては何も問題ない。優秀な人間には仕事があるから。円高デフレってのは社会の底辺層を切り捨てます。困窮者が貧困ビジネスの標的にされて生活保護が機能してないし、所得税累進課税の最大が昔は 75 % でしたが今は最大でも 50 % もいかないぐらいだった気がします。所得の再分配が機能してない。円高路線にするんであれば、所得税累進課税の最大を相応に高くしなくてはならない。でも所得税にせよ法人税にせよ税率を上げると国外に高所得層が逃げるからって言って日本政府は上げない。だから所得の再分配が正常に機能することは今の国際情勢を鑑みて 99 % ぐらいない。俺も円高路線であっても所得の再分配が正常に機能するのであれば、まだ円高路線に同調できるところがあります。でも彼ら高所得者層は税金を払いたくない譲らないって言うから、それじゃ無理だなって話になるわけです。今の国際送金システムは高所得層に都合が良いようにできています。税率を高くしたら他国に資産を持って行って移住するぞって、富裕層は国を脅せるんです。最近は移住先として UAE が人気らしい。

日本には確かに優秀な人材がいる。オンリーワン企業もある。トップレベル企業もある。ブランドもある。法治も浸透している。でもそれだけ。日本には他に沢山の凡人がいる。多くの凡人にとってオンリーワン企業もトップレベル企業も関係ない。凡人に国際競争力はそこまでない。日本に優秀な人材はいるが、それは一部であり、世界にも優秀な人材はいて、それは世界中の人間の一部かもしれないが、日本国内の優秀な人材の比率とそう変わらないはず。それが確率というものです。優秀な人間は確率的に生まれる。遺伝子操作していないから。遺伝が関係するので多少の偏りはあるでしょうが。そして国際競争力がない凡人では、円高デフレの日本国内に仕事があまりないので失業する確率が高い。

つまり円高デフレにするのであれば、高所得者に有利な高い円と低い税率を活かして、世界中から優秀な人材を高額でヘッドハントして、それを日本国内の研究所とかで働かせる形にするのが目指す方向になるはず。そして日本国内の沢山の凡人は召使いとかメイドとか執事とかになって、彼らに仕えるんですよ。円高デフレが目指す社会はそういったものです。正にシンガポールです。でも日本人は 1 億人以上います。シンガポールにはなれない。そういった意味でも夢物語だと言えます。

アメリカは核心的な科学技術を他国が得ることを阻みます。日本が開発していた TRON OS などがアメリカの圧力を受けたって話があります。つまり IT ってのは核心的な科学技術ってわけです。なぜなら IT は新たな科学技術を生み出すのを加速するから。覇権国は科学技術で世界最先端を進まなくては務まらない。そのためには科学技術を得るのを加速する IT は絶対に譲れない。最先端の軍事技術も IT なしでは成立しない。なのでアメリカは絶対に IT で他国が先行するのを許さなかったんだと俺は理解しています。そういった意味でも円高デフレ路線は夢物語と言えます。世界中の優秀な技術者を日本が呼び寄せて研究することをアメリカは許さないはずだから。

俺は東芝フラッシュメモリの件もアメリカに要求されて渡したんだと理解しています。東芝が米ウェスチングハウスを買って大損しました。その影響で、損を穴埋めするために東芝フラッシュメモリ事業を米企業に売却したって流れじゃないかな。これは恐らく政治的に決まったことですよ。俺の根拠がない憶測ですが。日本が核心的な技術であるフラッシュメモリを握っていることをアメリカが許さなかった。そう考えた方がしっくり来る。

孫正義が ARM を買ってましたけど、この人は俺が思うにエージェントか何かじゃないかな。だから ARM の買収を許された。そう考えるとすべて納得がいくんですよ。この人に興味はないのでこれ以上は書きませんが。簡単に言うとアメリカのパソコンを日本国内に浸透させる雑誌とか発行してた人です。だから 40 年ぐらいずっと米韓のエージェントとして動いてる、って俺は理解しています。ARM を NVIDIA へ売却しようとして、アメリカとかに阻止されたらしい。孫正義はそれに素直に従うんでしょう。素直に従う人物だから許されてるんでしょう。ARM は核心的な技術を持ってる企業だから。

円高の強い円を使って投資立国になるって話もある。でもアメリカという軍事力とルールが背景にあるから投資を回収できるんであって、日本自身の実力で回収できるわけじゃない。そこを勘違いしてはならない。アメリカに梯子を外されたら債権も株も何もかも紙屑になりかねない。これも夢物語だ。お人よしでは債権回収はできない。日本人は世界に対して基本的にお人よしとして接している。戦争して申し訳ありませんでした反省してますって頭を下げ続けている。力強い毅然とした対応をアメリカに担ってもらっている。この事実を忘れてはならない。

それと日本は FTA TPP EPA などを今では結んでいます。この状況で円高ですと、ますます国内産業は太刀打ちできないでしょう。これら条約は尖閣問題などがあって日本には必要だったでしょう。なのでやはり円高は厳しい。

中国では今は若者の失業率が 21 % 以上らしいです。あまりにも高過ぎるので非公表になってしまったぐらいです。

過去の主張をまとめてみましたが。他にもあったかもだけど。俺は今は政治的な主張はしないようにしているので、過去にあった主張をまとめただけです。俺が何を主張していたのか。誤解や曲解を防ぐためのおさらいです。主張ってのは特定の誰に言うでもないんですよ。こんなサイトで書いてるだけですしメモに近い。もし自身に足りない視座があるなら取り入れてもらいたいなって思うぐらいで。決断するのは自分自身です。それが民主主義です。自分の決断に責任を持つ大人になるってことです。民主主義は自立した個の集団じゃないと正常に機能しません。何かあったら全て他人の責任にしたい、自分は責任を持ちたくない、あの件は自分は関係ない他人の責任だってなじる人間の集合では民主主義は正常に機能しません。自身は他人の決断を押し付けられた弱者であり、自分には責任はないんだって言う人の集合では民主主義は正常に機能しません。あなた自身が考えて決断するのであれば、それは民主主義にとって喜ばしいことです。これも俺がずっと言って来たことだなあ。

今後これ系の話を書くことがないことを願ってますよ。今回は過去の俺の円安主張について、実際に円安って状況が来たためにおさらいで書きましたけど。先週とかここの所はいくつか同様の記事を書いてますが。