それと命を救ったってシチュエーションですが

それによって救われた側が絶対服従するみたいな描写が当たり前のようにあって、それも気に入らないというか気色悪いというか。主人公は主人公で絶対的な忠誠を配下に求めてて、だからこそ命を救って引き上げた配下は絶対服従するので重宝している、みたいな関係でさ。仮に俺だったら命を救われたら感謝すると思うけど、絶対服従したいかっていうとそうならないと思います。確かに近視眼的に考えると命を救われなければ死んでたわけですから、生涯をかけてお仕えするって考え方はそこそこ理に適っていると思うんですけど、俺はそう考えないからです。

世の中は運だと思ってます。運悪く不幸な生まれの人がいて死にかけていた。そこに運よく五体満足で文武両道でその他あらゆるものが高ステータスな人が通りがかって死にかけの人を救ったとしましょう。ただそれだけの話なんですよ。確かに命を救った側には善意があったかもしれません。利益目的だった可能性もありますけど。でも善意があるかどうか関係なく、彼等はもともと幸運を得ているんです。不幸な人間がわざわざ何かを返す必要があるでしょうか?その言い方はどうなんだと思うとは思いますが。でまあ主人公ってのは圧倒的オールマイティ最強系なわけで、その幸運の際たる存在な訳ですよ。そんな奴に何か返す必要ある?って思えてしょうがない。

でもその主人公はことあるごとに自分も対等な存在だって素振りで取引だって言って平気で色々と弱者に吹っ掛けるんですけどね。自分の能力は自分の能力だって俺は対等な人間だといって。それもまた人の姿とは思いますが。読者の俺からすれば「お前が人間?冗談だろ」って感じなんですけど。良くある話に恵まれた人の義務みたいな話があります。恵まれた人は世の中に奉仕しなくてはならないのか、みたいな。その話はここではしませんが。

後は社会的な観点でも論じられますよね。現代社会なんかは保険などのシステムもありますし助け合いって考え方が大なり小なり浸透しています。何かの弾みで落っこちたら社会が引き上げる。そこに過度な感謝は不要で。お互いに助け合うってことであれば、それでいいでしょうって感じで。それは小説の世界と現代日本の乖離が大きいので、現代の考え方をそのまま当てはめることはできないんですけど。

ともかくそんなこんなで命を救われただけで絶対服従になるってのは俺は忌避感があるんですよ。そういう人がいても良いけどとは思いますが。どいつもこいつもって感じだと流石にちょっとなあって思います。そういうのもあって主人公は少女や幼女の奴隷を買ってるって話みたいですが。従順な子を選んでるって話です。合理的といえば合理的なんですが。