もう少し掘り下げる

圧倒的強者である主人公が他者に対して自分は対等だと自認している。対等な人間だと自認している。その為に攻撃されたらやり返すのが当然だと思っている。目には目を歯には歯をです。

主人公は圧倒的強者に相応しく他者を殺すことができる。しかもすべての他者はそれを認識できない。何時の間にか死んでいる。主人公による他者の殺害は他の存在には認識できないし、容易に遂行することができる。そしてそれまでにも主人公はその力を使って他者を殺害して来たし、これからも敵対したものは養分として殺害するつもりでいる。

繰り返しますが主人公は自分は人間で相手と対等だと思っているわけですが、すべての他者が認識できない方法で他者の命を奪うことができるほどの強者であり、もはや対等な存在とはいえないのが実態です。それでいて主人公は自らの能力を秘匿しています。雑魚として日頃は振舞っています。

自分が対等な存在であると人間であるとすべての他者から認識されたいという、人間として対等に接する権利を世の中に対して求めることを中核とした考え方をしている癖に、自らが保持している人外の圧倒的強者としての能力を世の中に公表せず、その上で敵対したものは対等な存在としてではなく人外の圧倒的強者としての能力を使って蹂躙することを是としており、実際にその力を行使して来た。

異世界に放り込まれて足下が覚束なくて切羽詰まった状況に陥って生き残りをかけて殺人を犯してしまったぐらいであれば或る程度は共感できるところもあるんですけど、流石にやりすぎだろうって俺は思いますよ。つーか昨日も書いたと思いますけど神様みたいな力を持って物語がスタートした時点で人生終了してますし、俺も読了って言いたい気分ですが。

力を隠匿して人のように振舞いたいって思うのはいいですが、それなら力を行使するのを止めろとは言いたくはなります。確かに悪い奴ってのは殺されても仕方がないとは思うところはありますが、わざわざ挑発的に悪さを起こさせるようなことをする必要はないじゃないかとは思います。人間には魔が差すってこともありますし。シティーハンターみたいな考え方を持っているわけではないし。シティーハンターってのは公権力が法律で裁けない悪を裏社会で暴力で排除する、そういうダークヒーロー的な考え方だったと思うんですけど。この主人公はそういうのもなくて、自分がとにかく好き勝手したい、そして邪魔者は消すって考えなだけなんですよ。でも邪魔者は消すって言っても対等な人間として他者と接したいって思いがベースにあるみたいなので、善性の人は消したりしないみたいですけども。でもちょっと叛意があるぐらいで力を行使しようとするところがあるようですが。

つまり何が言いたかったんだ。主人公は自分が人を殺す理由を自分を騙す形で作り上げてるか、もしくはアホで自分が圧倒的強者である自覚がなくて対等な人間だと本気で自認しているのか、または殺す理由や基準など実はどうでも良くてやりたいようにやってるのが実態なのか。そんな感じなんですよ。

まあそんな感じで、ここに書いた理由だけでなく昨日や一昨日に書いた理由もあって、嫌な主人公だなあ嫌なつまらない作品だなあって思いながら読んでます。