読み進めている

箱庭政治系の本を。面白い読み物だとかそういうのじゃなくて政治の本だと思って読めばいいのかなあって気はします。詰まらない政治をなるべく面白く子供向けにアレンジしてる感じの本というか。そこまで面白くはないですし、読んでいて主人公を礼賛する感じがとても気持ち悪いのですが、楽しむ本ではなく学び取る本であると思えば良いんだと思います。本当に定番の小ネタが詰まってる「何とか集」みたいな、そういう系統な気がします。ただしそれを一つの一気通貫の物語としているというか。そんな感じかなあ。新しい感じも特になく、人間が躍動的に描かれているとかもなく。箱庭政治系なので登場人物が多いし細かい描写もない。転生ものだし。現代日本を向こうの世界にコピーして現地で礼賛されたりする定番ネタ、箱庭政治の定番ネタ、定番の最強格に驚く普通の人達、定番のハーレム化、定番の主人公に極めて都合の良い世界設定・世界の動き、そんな感じというか。とにかく定番に溢れている。或る意味でそれが挑戦なのかもしれないですね。ただひたすら愚直に定番を突き進めるとどうなるのか、そこに挑戦したのかもしれないと読んでて思いました。

良く分からないんですけど最近の読者はドキドキするような展開は好まない傾向が強いって話を聞いたことがあります。テレビか何かだったか。お約束の定番ネタとか、もしくは絶対に誰も死なないし主人公は愛されまくってて絶対に安全みたいな、そういうのが好まれるとか。不安になりたくないみたいな。そういう読者の需要があるんでしょうかねえ。

ただちょっと俺は読んでて気持ち悪いな。主人公は比較的お人よし。外見も良いらしい。しかも世界の頂点レベルの特殊な力がある。だけど権力欲は無い。悪いやつではない。その世界は現代社会よりも危険な世界で文明が発展していない。そこそこ危険な世界で力や知識で村を作って街になって国になってって発展していく。住民は力ある主人公に臣従して主人公を礼賛する。女は主人公の種を欲しがる。主人公はそれを望まないと言いつつ性欲は暴れて種をばらまく。権力欲が無い主人公だがトラブルが向こうからわんさかやって来て、それを解決していく。大抵のトラブルで命を救うか、生殺与奪を握り込んで住民にする。解決すると住民が増えて街が大きくなり主人公をより礼賛する。そこそこ荒廃している世界なので、主人公が作った街での生活が好きで出て行くものがいない。主人公が作った街は他より圧倒的に生活レベルが高い。そういう感じですよ。分かりますか、この気持ち悪さが…。分かりませんか?分かっていただける人もいると思いますが。そういった物語を書く作者がいて、それを読んで喜ぶ読者がいるんでしょう。だから作者は「これがいいんだろ?こういうのがいいんだろ?平和な中で愛される人格者の主人公が良いんだろ?日本文化が礼賛されると嬉しいんだろ?」って読者を喜ばせている、かもしれない。気持ち悪くないですか?まあ感想は人それぞれか…。出来過ぎているのは当たり前なんですよ、本だから。物語だから。どうにもできる。だからひたすら主人公がより愛されるより礼賛されるようにトラブルが起きて解決するような流れというのは、そういう風に書けばそういう風になるわけですから当然とも言えて。そしてひたすらそのように書かれている。そこに気持ち悪さを感じるというかね。主人公を礼賛する連中は意志を持っていないのかって言うぐらいに自立心が感じられない。荒廃した世界だから主人公の街から出て行きたくないんだって理由付けもしっかりしている。出来過ぎている。だから自然な運命を感じられない。物語であって本なんだから当たり前なんですが。とにかく不自然なんですよね。不自然な世界の人間みたいな知的生命体からは人間味が感じられない。だから気持ち悪いのかな。その辺りのバランスがガン無視されてるというか。好みの問題なんですかね。気持ち悪い理由に選民思想が感じられるところもあるか。決して選民思想ではないんですよ、そこそこの人格者だし。でも結果としてそうなってしまっているというか。そういうことが描かれているところが気持ち悪いのかなあ。しかもその選民は主人公を半ば盲目的に礼賛しているわけで。

この気持ち悪いという感想を抱かせるのが作者の目的であれば、それは狙い通りですね、って言えます。良くここまで書きましたねって思います。気持ち悪いですけど。