気持ち悪いと感じるのは未知とか違和感とかあると思いますが

まず異世界ってのがさ、この世界を基準に考えれば不自然とは思うんですよ。世界の法則が違うし。それはまだ良いんですよ。世界の法則が違うんであれば、それはそれでその世界の法則で自然な確率で自然な運命というのはあると思うんです。だけど世界の法則が違っていたとしても、やはり自然な確率ってのは直感的に感じると思うんです。でも物語ですから奇跡というのは当然のように起こります。そこは良いんですけど、やっぱり出来過ぎているって感じてしまうと良くないというか。別に良いんですけどね。そういう出来過ぎている系の話ってのも、それはそれで面白いのはあるので。その出来過ぎ感をどういう方向に出していくかで、かなり違ってくるのかもしれません。

統治者がいて国とかを治めるタイプの物語というのも山ほどありますが、できるだけこの世界の法則でリアルに考えると、統治者はずば抜けて力を持ってるってことは有り得ないんですよ。そして国を興した初代の統治者なんかは普通はそれなりの上昇志向とか権力欲とかがあったり、色々な力強さを持ってたりするわけですよ。カリスマがあったりさ。そういう人がなるのが普通で…と俺は感じているのですが。まあ実際はどうか分からないですけど。だって控えめで隠居気質の人間だったら国なんか興さないでしょう。誰かが興した国の住民になるのが自然だと思うんです。

でも読んでる途中の本では、主人公は通常の人間が束になっても持てない途轍もない世界の頂点レベルの力を持っているんですが、隠居気質であって、世界の果てみたいな場所で静かに暮らしていた。だけどそこにトラブルが舞い込み続けて、世界最強の裕福な国の王になってしまった、みたいな流れなんですよ。明らかに作者の意図が力強く働いた状態で。どんな物語も作者の意図は強いと思うんですが。俺にはいびつに感じられるレベルでして。絶対王政でも統治者が優秀であればうまく行くとか、そういう話もあって、取り敢えず存命中は国のみんな幸せなんだろうとか思ったりしますけど独裁体制といえば独裁体制だし、圧倒的な富と力で支配している構図であることに変わりはないし、それなのに統治者としての自覚はあまりなく、ただ持ってる力で支配者の立ち位置にいてしまっている。だから当然なんですが違和感があるんですよ。だから気持ち悪いんです。これはなんなんだろうなあって思うんですよ。

たぶん統治とか政治を描いているのも良くないんだと思います。力があるけど放浪する人とかだったら別に良いんですよ。自由に生きたい、みたいな感じとか。統治を描かれるから気分が悪くなるのかもなあって少し思いました。神にも近い力を持った存在が、その他の圧倒的に脆弱な存在の中で本格的に統治を始めたら、それは必然的に選民の国になってしまうでしょう。国民は王を神のようにあがめるでしょう。やっぱりそこが良くないのかなあ。