読書家の方とか執筆してる方とか、その手の文学部に行った人とかには常識なのかもですが

小説を読んでて思うのは、メインストーリー的なものが当然ある訳ですけど、ないのもありますけど、メインストーリーがあって、それに付随してる世界とかを描写するわけじゃないですか。その世界の描写の粒度とか対象ってのは、その作品によって異なるわけですよね当たり前ですけど。この地球の現代日本を物語の対象としてる作品の場合は、或る程度は描写が省ける訳ですよ、書かなくても分かるよねってことで。でもそれが場所がアメリカになったり、時代が平安時代になったり、そうすると描写量が増す訳ですよね。そうしないと日本人の読者に伝わらないから。日本で売り出す本の場合ですけども。それがファンタジー世界だとか平行世界だとか、そういうのになってくると一気に描写量が増えるというか。この世界と違うわけですからね。それよりも更に更に増えるのが転生ものですよね。転生ものは、ただただその世界の描写をしているだけでも話が書けるんだなって思いました。もちろんそれだけではないですけど。現代日本人がファンタジー世界に転生した。すると現地の歴史や文化や物理法則の描写、それに主人公が持っている現代日本の知識や文化や望郷、それが融合されて描写量が飛躍的に増えるというか。小説家としての力量が問われにくいジャンルなのかなって思いました。ちょっと失礼かもですが。だからあくまでそういう世界描写はオマケであって、作品に添える前菜みたいなものであって、大事なのはメインストーリーだと思っていますが。食文化の話だとか描写するのは良いんですけど、そういったことであればそういった作品を読んだ方が面白いと思ってしまうんですよね。食品特化作品とか戦車特化作品とかあるじゃないですか。主人公が異世界に持ち込んだ日本文化が現地で浸透して「日本文化マンセー」みたいな雰囲気を醸し出して悦に行ってるのも良いのかもしれませんが、俺はそういう気分に浸れないタイプなので。寧ろ虚しくなりますね。かといって世界描写が無さすぎるのも面白くはない。それが画一的で飽きるほど読んだようなものであったとしても。そこに作品固有の登場人物などを織り交ぜて多少は描写した方が俺は奥行きがあっていいと思いますけど、あまり描写が細かすぎると「その分野における二流な描写を細かく読み続けるのは辛い」という気分になってしまうのも確かで。匙加減が難しいのだろうなとは思います。もちろん作者が好きなように書けばいいと思うんですけどね。

それに転生ものってのはお約束が多いですよね。転生ものを転生ものたらしめるものと言えば、主人公が現代日本の知識を持っていること、それでいて転生したので初期の知識が他者より有利であること、その辺りだと思うんですよ。それに加えて言葉がやたらと通じるみたいなオマケもありますし、主人公がやっぱりやたらめったら強いみたいなこともあります。これは転生ものに限らず、大抵の少年漫画系では主人公は強いんですけどね。主人公が凡人だとやっぱり物語が成立しづらいというのがあるかもで。読者が求めているのは色々あると思いますが、主人公が不幸に塗れる作品よりも爽快な冒険活劇のが需要はあると思うので、やっぱり主人公は強いことが多い。後は主人公は人間で転生後の世界もやっぱり人間社会なんですよね。姿かたちもそっくりで。それに文明の発展度が現代日本よりも遅れている。だから主人公は知識で優位に立てる。そんな感じですよ。まあそれらの御約束の中で、どれだけ面白いものを書くかってのも大事なんだとは思いますけど。