金利

少し掘り下げて考えてみた。
1.機関投資家は日本国債を最も安全な債権と考える。その為に日本国債の利率よりも低い利率では他に金を貸し出さない。よって日本国債の利率は長期金利の下限として機能する。但し日本国債流動性が少ない場合はその限りでは無い。銀行が現金を持て余している場合は、貸し出しをしないと、預金金利の分だけどんどんマイナスになってしまうので、日本国債が手に入らない場合は日本国債の利率よりも低い利率で貸し出す可能性がある。
2.日本銀行が長期国債を買い捲ると、機関投資家は現金を持て余す事になる。持て余した現金はどうにかしないとならない…。そこで外債や株や色々な物に回す。そこで株価が上昇し、企業は資金を調達し易くなる。銀行も株高によりバランスシートが改善する。貸し出し余力が出て来る。そういった状況になって、未だ現金を持て余しているならば低い金利でも貸し出すだろう。だけど景気が回復して設備投資が進んで借金の需要が増えたり、株高の傾向が続けば、どんどんそちらに現金を回すので、現金を持て余さずに済んで金利は上昇して行くのか…。ここで注意したいのは、金利は上昇して行くって書いてるけど、長期国債の利率は恐らく上がらないって事だよ。何故なら日銀が買うから。
3.海外に流れ出た資金は円安という状況を生み出す。円安は輸出企業の価格競争力を高める。輸出企業には、完成品の輸出企業だけでなく、半製品や部品の輸出企業もあるので、現地生産で完成品を作ってる大企業に対して、日本の中小企業が部品を輸出するという形で中小企業が潤うというのも有り得る。そうして日本企業が潤って行く。
4.日銀の短期金利は依然として低いので、強制的に金利が上昇して行く様な事にはならないと思う。まとめると金利の上昇は景気次第って事になるのかなあって思う。景気が回復すれば中小企業も潤うので金利が上がっても問題は無いのかなあ…。しかし景気が回復して来たとしても最初の頃は厳しい筈なので、モラトリアムは現段階では必要だと思うねえ…。
5.設備投資に就いては為替の安定性が物を言うと思う。安定して価格競争力を確保出来る水準になければ、設備投資は恐くて出来ないだろう。そこは日本政府と相談しているのだろうか。日本政府はアメリカと結託しているのだろうか…。
6.そういう状況になって、海外のヘッジファンドとかがどういう動きをするのかが気になる所だ。コイツらに下手に儲けさせる訳には行かない。だから日銀の黒田が現段階では口だけなのは俺は良いと思ってる。確かに国内の企業からしてみれば言行一致であって欲しいと思うだろうが、海外のファンドみたいなハゲタカ系の連中が跋扈する現代では、そういう訳には行かない…。
7.通貨と国債というのは非常に似ている…。どちらも通貨的でどちらも債権的だ…。国債は利息が付くけど流動性が低い。通貨は利息が付かないけど流動性が高い。通貨ってのは、国単位で考えると借金の様に考える事が出来る。通貨供給量が 100 だとして、国内に 50 あって、国外に 50 あったら、国外にある 50 は借金の様な物だ。そこは注意が必要だ。そこで通貨供給量を 200 に増やした場合は、国内に 150 あって、国外に 50 だから、借金を比率的に下げる事が出来る。だけど通貨供給を増やし過ぎると通貨の信用が無くなる。ハイパーインフレになる。なので通貨供給を増やすのは限界がある。その限界というのは恐らく経済規模なんだよ。通貨の信用性は、それが通用する経済規模で決まる。石油とかの重要なエネルギーを確実に購入する事が出来る通貨は、信用性が高くなり、通貨供給量を増やせる。日本が世界に誇る町工場の部品も、世界中が欲しがるので、それは通貨の信用に繋がる。アメリカの軍事力ってのも、通商ルートを確実に維持したりするので、信用に繋がる。って事で、そういった数値化し難い信用という物で通貨供給量の限界は決まって来るので、そこだけは本当に要注意だよ。そこをヘッジファンドに付け込まれない様に。考えてくれてるとは思うけどさ…。
8.通貨供給量が増えたりして、インフレになったり円安になったりするのは、現金の価値が実質低下している事を意味する。インフレ率が 1 % で金利が 1 % だと、いわゆる実質金利って奴で考えると 0 % になるんだと思う。多分だけど。その辺りも考慮する必要があるかな…。だけど景気が回復しない事には借金の需要は増えない…。だから株や不動産や国外に流れるのか…。うーん…。そうなると難しいなあ…。売国奴じゃない優秀な連中が上手に操作してくれてる事を願うねえ…。株とか外債とかだと PER, PBR とか為替リスクとか考慮し出すんでしょ。そうなるともう俺には計算式が思い浮かばないレベルなんだよな…。それに金融商品にはオプションとか先物とか色々とあるからな…。
9.日本国内の景気と海外の景気は分けて考えるべきだな。海外の景気が良ければ海外に金は流れて行くだろう。景気って言うか成長性かなあ。今は世界的に不況って話だけどさ。海外に投資するか国内に投資するかは相対的に評価される訳で。海外は為替リスクとか政治リスクとか色々とリスクが高い訳だけども、そういったのを加味して国内よりも良いって判断するんであればどんどん海外に流れて行くのだと思う。それってのも日本国内の金利に影響する筈だよな。海外の景気が良くて日本国内の景気が悪い場合は、景気が悪いのに金利が高くなる事も無きにしも非ずって事か…。日本国内の景気も海外の景気も悪ければ金利は低くなり、日本国内または海外の景気の何れかが良ければ金利は高くなる傾向になる訳だよな…。景気とか成長性って観点で見て行くと人口構成とか成熟度とか色々と考慮する必要がある点はある訳だけど、そっちの話に行くと話が逸れるので余り踏み込まないよ。
10.長期国債を日銀が買うという事は、その分だけインフレを起こしていると解釈する事も出来る。インフレを起こしているという事は、実質金利が低下する事を意味する。それは長期国債の利回りが実質ベースで低下するという事だ。そして長期国債の利回りが低下すれば銀行は長期国債を売る( リスクや利回りを考慮して良好な投資先や貸し出し先があれば )。それを日銀が買えば更にインフレを起こす。といった事象が再帰的に発生するという事もあると言えばあるのか…。つまりブレーキが効き難いって事だよな。長期国債を日銀が買えば買う程にインフレ率は段々と下がって行く筈なんだけどな…。いざとなれば中小企業向けには政府系金融機関が出る事になるのかなあ。