息抜きとして読む小説としては

随分と気持ち悪い小説です。弱くて我が儘で強欲で気持ち悪い人間模様を描いた作品ですかね。でも中身はあります。ラッキーマン物語(旅情編)はとても平ぺったい印象の小説で中身が薄い感じがあるんですけど、こちらの気持ち悪い小説は濃い中身がありますよ。でも気持ち悪いな。恋愛描写において相手を落とすって考え方は好きじゃないんですよね。このさ、相手の幸せを考えるとか、慮るとか、自分を犠牲にしてでも幸せにするって言いながらも、長期に渡って相手の心に少しずつ自分を印象付けて、計画して落とし込んでいこうとする姿勢が気持ち悪い。正面からぶつかって砕け散って死ねと言いたい。

その気持ち悪い計画を持ってる男が口ほどにも無い噛ませ犬キャラであることは、この小説が始まった時点で確定してるんですよ。ループものだから。ループものであって、そして記憶を継承しているのは狙ってる女の子なんです。で、前回のループは女の子が不幸になって終ってる。つまり、その男が普段から言ってるような「誰を犠牲にしても女の子だけは幸せにする」って展開が実現されてないわけです。しかも女の子の前回のループ記憶にその男が欠片もない、もしくはあるのかもしれないけど全く描写がない。それを考えると噛ませ犬でしかないはずなんですよ。その辺りをどう描写するのかが山場なんだろうなあって思ったりしながら読んでますけど。