主人公最強ものは

ドラゴンボールみたいに常にインフレした敵や世界が現れ続けたり、神になったり、支配層になったりする作品が見受けられますけど。インフレする場合は基本的にワンパターンでどうしようもないですし、神になったら終りですし、支配層になったらノンフィクションの劣化コピーでしかないっていうか。支配層のすることって統治なわけですから、現実の方が遥かに濃密であってさ。支配層を描写されても子供向けの絵本みたいになってしまうわけで。カンブリア宮殿とか日経新聞とか見てた方が良いんですよ。まとめると主人公最強ものはとにかく面白くない。面白くないのに何故かそういうのが多すぎる。ほんとなんなんですか。最強って言っても突き抜けて強過ぎる場合とどんぐりの背比べ状態の場合では全く違うんですけど。突き抜けて最強だと酷い。

最強ものを見たい気持ちってのは、最強への幼い憧れとか、中二的な神への憧れ、親しいものが強くて活躍するのを応援したくなるとか、後は最強の善人が善政を布くと平和でいいよねとか、そういうのかなあって思うんですけど、どうなんでしょうか。下剋上とか成り上がりってのはまた違うんですよ、それは上昇して行く過程があって状況が停滞してないので。少女漫画的な展開では最強の存在の嫁になるみたいなのもありますよね。

最強ってのは要は安定して停滞してるってことですよ。停滞は退屈なので。現実に戦争が起きまくってたら大変ですけど。読み物は平和なのは面白くないんです。ギャグとか笑いがあればいいんですが。それは言及する意味がないことで。ギャグとか笑いってのは、その他の全てが糞以下であっても、それだけで成立するジャンルだと思うので。もちろん停滞していないポーズを取ることは作品的には可能です。悪者が主人公の弱点をついてくるとかさ。でもどうせ圧倒的な力と強運で無傷で解決するじゃないですか。それが分かってるので面白くないんですよ。

結局のところ同じようなのを何度も読むのは苦痛ってのがあるんですけど。より洗練された磨き上げられたものを読むのならまだしも劣化コピーは辛い。俺もヒーロー戦隊ものとか水戸黄門とかで正義の味方だとか最強だとか、そんなのはとっくの昔に卒業してるまでは言わないけど、もういいってぐらい読んでるので。

そろそろ今のランキング上位から下位に向かって読んでいくってのを止める頃合いなのかも知れないと思っています。

向上心をもって努力するものを読み続けて反発心をいだけば、転生して俺 TSUEEE 的な無双ものも読みたくなるのかもしれません。それはなんというか流行ってものなのかもしれません。人が何か興味をそそられるとか続きが読みたいとかなるものって色々とあるはずなんですけどね。どうして俺にこうも読み続けたいと思わせてくれない作品が高ランクに出て来てしまうんでしょうか。向き不向きがあるのは分かるんですが。未知性ってのは大事ですよね。この謎の答えを知りたい。世界の理を知りたいとか。犯人は誰なんだとか。このトリックの仕組みはなんだとか。あのセリフの真意はなんだとか。どうしてあの人はあんな動きをしたんだろうとか。事件の真相を知りたい。俺だけが事件の真相を知っているが動き方が分からないとか。暗躍する主人公とか。魔王みたいな分かりやすい悪や敵と対峙する自陣営の動きとか。危機と安否。後は恋愛的なものとか。この人物とこの人物はいつになったらくっつくんだよとか。毎度毎度いい雰囲気になるのに最後には壊れるギャグとか。散り散りになったものが再び集まる。出会いと別れと再会。逆に昼ドラ的な関係の破綻や怨恨や狂気や不和や燃料投下や復讐や執着や嫉妬や虚栄や自虐や破壊や強欲や裏切りや屈従や面従腹背とか。大罪と美徳。色即是空などの宗教性。時を超える情熱。主人公に気づかれないところで起こっている悪や対抗勢力の胎動とか。魅力的な登場人物も大事です。悪役、善人、調整役、常識人、世間知らず、勘違い、目立ちたがり、工作員狂言回し、マスコット、色々といますよね。でもまあ魅力的な登場人物の設定をしただけじゃもちろんダメですが。中身を伴わせるのが難しい。評判とか作者への期待ってのもありますよね。とんでもない面白い展開が用意されてるに違いないって読む前から思わせてしまうもの。製作者への信用とも言い換えられるか。ランキングもそうなんですよ。ただ不正なランキングだと酷いことになる。俺が書いてるような文句がわんさか出る。小さな問題を乗り越える展開を読ませて、それで期待を持たせることもできると思います。この作者は面白いとか。単純に作者の地力が必要と思いますが。主人公が知恵や交渉で乗り越えていくとか。主人公の特殊性も大事ですね。世界設定とセットだと思うんですが、主人公だけがなすことが出来るもの、みたいなのは物語が進行する意味を生み出しやすいと思います。たくさんの人の力を借りる味方につけるってのも魅力になり得るとは思いますが、必須な要素ではないと思います。描き方次第かなと。登場人物が増えると読んでて疲れますから。忘れるし。寧ろ少ない方がいいって考え方すらあります。登場人物が増えれば増えるほどに濃密な人物設定を少ない字数で描けなくなるし。増やし過ぎるとペラペラな人物ばかりになってしまう。過去の失敗や選択に関する後悔をやり直す、失われたものを取り戻す過程。世間的に知られていない秘境とも言えるような奇習。専門的な描写。基本的に奇妙さ奇抜さは大事と思います。体制と反体制、ヒエラルキー。皇帝、王、領主、貴族、平民、奴隷。繁栄と没落。テンプレは童話に沢山ありますね。シンデレラ、醜いアヒルの子、浦島太郎。なんだか良く分からないけど目まぐるしく変化する状況、巻き込まれ、その後に徐々に真相に近づいていく。今まで誰一人として到達しなかった頂、手にすることができなかった宝。ロストテクノロジーは描写によっては陳腐になるので注意が必要とは思います。陳腐化は全ての分野で重要な観点だとは思いますが。恐いもの見たさ。後は話題が欲しいとかもありますか。あの人が見たものを見ておきたいとか。そういうのはここで言及する意味はないか。単純に刺激的なものが見たいってのもあったりしますね。逆に安寧が読みたいって人もいるんだろうか、俺からしてみたら退屈そのものですが。多少は親しみのある登場人物であれば安寧的な描写もファンサービス程度でほんのほんのほんの少しは読みたいと思うかも知れませんが。刺激的な作品につかれた時にほっと一息するために読むとか、そういうのもありなのかも。常識知らずの主人公が曲芸をあっけらかんとこなして周囲の人間の目玉が飛び出すとか、そういうのは読み飽きたけど、そういうのに飢えてる人もいるのかも。可愛い物が見たいってのもありますよね。成長や社会的な成功とか。どれだけ感情移入させられるかってのがポイントだと思いますが。預言者や最先端の科学者などだけが知る破滅的な未来の回避。バカが握ってしまうと世界が滅びるボタン。正義の味方とか勧善懲悪とかざまあみろ的な展開。降りかかる火の粉は払わねばならぬって展開はあまり面白くはない。多用は厳禁と思いますがどうなんでしょうか。この手法を使わないとどうしようもないのかな。火の粉を振りかけないと停滞するしかないからなあ。単調にしないように要注意だと思います。この勘違い展開がいつまで続くんだという期待と壊れた時の不安。知られてはならない秘密の保持と暴露。次はなにをやらかすんだという期待。滑稽なまでの必死さ。メタ的な視点からの徹底的なフラグ潰しの動き、やりすぎに注意ではあるが。表と裏の顔の差。悪人が精魂込めて作った最強の仕掛けを脳筋気味の強運主人公がワンパンでぶち壊すのは爽快にも思えますが、つまらなくもあります。

今まで読んだのを振り返りましたが、結局のところ面白い作品の作者には地力があるなあって理解に落ち着きました。地力がある作者の作品は 1 つ 1 つの話が面白い。短編的にも長編的にも面白い。つまらない作品からは作者の地力が感じられないですし、それに読み手に興味を持たせることもできていないと思います。結局は地力がないから持たせられないのかもですが。地力があれば「この作者の話は面白い。この先も面白いに違いない」そう思わせるだけで、伏線みたいなもので盛り上げる必要すらないんですよ。もちろん地力がある作者は伏線みたいな仕掛けを自然と使ってるんですけどね。なんとも酷い結論ですが。つまらない作者には地力がないということが俺の中で判明しました。

もちろん書きたいことを書いてるだけで面白いものを書くつもりはないって人も多いと思うんですけど。じゃあなんでランキング上位なんだよって思うわけですが。

でも小説ってのは文学性が高いのがあるべき姿だったりするんだろうかとか思ったりもしてしまいます。俺が文学ってものが全く分かってないから。ずっと国語は苦手だったんですよ俺は。