アンチテーゼ

言葉の用法を違えているかもしれませんが。異世界転生日常ものの存在意義というか、なんでそんなものを書いたんだという動機というか、そういうものを考えるとアンチテーゼという言葉に行きつきました。異世界転生ものと言ったら一般的には「動」の作品なんですよ。それに対するアンチテーゼとして「静」の作品を描きたかったんだろうなって思いました。こんな面白くもない醤油、マヨネーズ、米、その他、といった郷愁ネタをどうして書くのだろうかって面白いとでも思っているのかって考えるとさ。面白いか面白くないかじゃなくて、アンチテーゼしたかったんだって思うと腑に落ちました。日常ものって言ったらサザエさんちびまる子ちゃんクレヨンしんちゃん、などの延々と年を取らないものが多いと思いますが、その作品は年を取ってるんですよ。凄くペースが遅いですが。なので完全に日常ものの土俵にいるわけではない。糞遅いながらも山も谷もないストーリーが進んでるんです。何せ異世界に転生した主人公はその特殊で強力な力で困難な運命に巻き込まれて行くのが常ですから。そういう運命を描かずに平穏無事な運命の許に生まれて、その後も徹底して大変な運命を主人公の意志で避け続けるのは確かに痛快かもしれません。ただし痛快というのは作品全体のアンチテーゼとしての価値であって、各々の話は面白くないですが。