多国籍企業

小学生だか中学生の頃に教科書に出て来て「日本の企業が海外で活躍してるのは良い事だ」ぐらいにしか思わなかったんだけどさ。これってのは色々な問題を孕んでいるよねえ。大人になれば誰もが気付く様な事だとは思うけど。多国籍企業ってのは今で言うグローバル企業の事だと思う。この多国籍企業が孕む問題なんだけどさ。日本の国益って観点から考えたい。だから日本の国益をどうでも良いと思ってる人からみたら全く問題じゃないと思う。
多国籍企業が海外の現地で、現地の人を採用して、現地から原材料や半製品を調達して、現地の人に製品を売ってるとする。そしてその売り上げから、従業員の賃金や調達費を得て、再び生産サイクルを回す。余った金を税金や配当金や日本人従業員の賃金や資金の移動といった形で日本に還流させる…。
ここまでで既に悪い点が見付かっている。それは現地人を採用し、現地から原材料や半製品を調達している、という事。日本人の雇用が奪われているって事だ。現地人を採用する事は言わずもがなだし、半製品や原材料の調達に就いても、間接的に日本人の雇用を奪っている。しかし逆に良い点であると考える事も出来る。「日本人の非常に優秀な能力」という物が存在すると仮定すると、その日本人の力をもっと別の創造的な作業に振り向けられるので、非常に望ましい事、と考える事も出来る。だけど現実にはそうはなっていない。日本人の全てが優秀であったなら、現状の様になる事は有り得ないだろう…。
この点に就いて「今の日本の人口が多過ぎるんだよ。余剰な使えない人材は死ねば良い」というかも知れない。暴論だが…。この点に就いては以前も書いた気がするんだけどさ。真面目に書くと色々と問題がある。使えない人を安易に保護せずに殺す様な真似をすれば、確実に社会は不安定化して行くだろう。程度は分からないけど…。強盗とか社会に鬱憤晴らしをするとか、そういった犯罪が色々と発生し治安が悪化し日本のイメージはガタ落ちだ…。「じゃあ殺さずとも減らせば良い」と考えるかも知れない。要は産ませないって事だ。貧乏人を経済的に困窮させて子供とかを育てられない状況に追い込む。優秀な人間は経済的に困窮していないという前提で。この方法は或る意味では賢い。狡賢いって言葉の方が適切だが…。道義を考えれば、政府としては「日本は人口の減少を目指します」「一人っ子政策を行います」って国民に周知するのが当然だ。それを言わずに貧乏人を苦しめるのは狡いとしか言い様が無い。これに気付いてる人間は当然の様に憤る訳だ…。次に使えない人達を減らして人口を削減したとして、それで本当に良い結果になるのか、って問題がある。使える人達や使えない人達から産まれた子供達は、親と同様の能力を有しているのだろうか。或る程度はあるだろうけど、そんな話は聞かない。基本的には乱数的な訳だよ、子供の能力ってのはさ。未だ未解明な事が多いけど。つまり使えない人達は一定の割合で存在し続けてしまうって事だ。なのでどこまで減少させるのかは割合じゃなくて数で考えるんだと思う。この数まで減らせって。それはそれで良いのかも知れないが、結局は優秀な人の数も減ってしまうので、それはそれで問題だろう…。次に人口が減ったとして、それは本当に日本にとって良い事なのかって事が言える。グローバルに経済の効率を考えて、日本国内の余剰な人を減らしたとする。そしたら究極的には日本は海外に依存し捲る全く自立していない国家に成り下がる。つまりグローバルに経済の効率を考えると、余剰な人が発生するけど、日本国内の自立した経済を考えると、余剰な人は実はあまり多くない、という事が言えてるって事だ。だから「余剰な使えない人材」というよりは「グローバルに経済の効率を考えると余剰な人材」というのが正しい訳だ。なので調達先が全てダメになった場合は、現在の日本国内の余剰な人達は全て就職をして、更には企業は人材難になってしまう事も有り得る。そういった事も考えると、余剰は必須であるとも言える。人の数が減れば購買力も減る。購買力が減れば企業は縮小する、というスパイラルもある。違う問題点として、優秀な管理系の人材ばかりを育て続けて、その子供の世代もその傾向を受け継ぐ人材になると仮定したら、それはそれで人材に偏りが出てしまって、自立した国じゃなくなってしまう、というのもある。後は余剰な人材が本当に何も生み出さないのかって考え方もある。余剰があるからこそ生み出される物ってのがある。素晴らしい文化が生まれる事もあるだろう。それが世界に広がれば日本式な考え方が広がる。それは日本の優位性に結び付く。人口が減れば食糧問題とか環境問題とか色々と解決するのは間違い無いが…。人口爆発は人という種の終焉に向かっているって考える事も出来るし…。
次に日本人自身が国内で物を作っていない、という点も悪いと言える。現地では現地の分だけを作ってるのかも知れない。その為に日本国内では日本国内の分だけを作って日本人に売ってるのかも知れない。それならば良いんだけど、全てを海外に頼るのは良くない。特に必需品は。逆に海外に頼る事によって、日本の得意分野に特化する事も出来る。その為に一概には言えない。だけどやっぱり必需品系は少量でも良いから日本で作り続けるべきだろう。それと完全に海外に依存し切る物に就いては、調達先の多様化と信頼出来る調達先の確保が必要だ。
後は日本国内に流れる金が少ないって事も言える。賃金や原材料費とかを現地に出してしまっているので、日本国内にあまり入って来ない。税金の支払いに就いても現地政府に払ったりしないとならない。日本にちゃんと税金を納めてるのか不明。海外に本社を置かれたりすると、税金とか納めて無いんじゃないかって思う。配当金に就いても、現地の法律がどうなってるのか良く分からないし。株をちゃんと日本人が握っていないとダメだし。資金の移動も海外で留保し捲って行われない傾向らしいし。
それと現地の企業を現地人に乗っ取られる危険性がある。本社すら乗っ取られる可能性もあるかもだ。道義で考えて行くと、そうならざるを得ない…。日本人も現地人も同じ人であるという事で、同様の待遇をし続けたならば、いずれは日本人が幹部クラスの少数派に転落してしまう事になるだろう。日本人が途轍もなく優秀ならば別だけど…。幹部クラスには日本人じゃないとなれないんですよ…って言い訳もいつまで続く事やらって感じだ…。国際条約の後押しもあるだろうし。分社化したりして、壁を作ったりするのかも知れないけど、そういう誤魔化しがいつまで続くか…。そういった内部から浸食されるケースとは別に、内部に入り込んで技術を盗んで出て行くパターンもあって、そっちのが喫緊の問題だろう。技術は盗まれるって事だ。それについても出来る限りバラバラに製造工程を分けて、それぞれの製造場所を複数の国に分散させて対応するんだろうけど…。それもいつまで持つ事やら…。製品の寿命まで持たせれば良いんだろうけど。iPhone ですら韓国にコピーされてるっぽいからねえ。