進捗管理とは単純なようでそうでもない

進捗管理ってなんで必要なんですかって話になります。普通に考えれば進捗状況を把握して遅れが出ていたら対策をとるためって話になると思うんですけど、実際のところそんな感じではない。俺の今までの経験では進捗報告をして対策らしい対策が取られるのは少数派だったと思います。大体は尻を叩くぐらいです。スケジュールにバッファがある場合はバッファを食いつぶしますって話になることもあるし、他のグループとの調整ができるのであれば色々と資材などを優先して融通してくれることもあるし。でも追加要員や資金が出ることはまずない。組織内で人員を融通することはあったりするけど。最初からスケジュールの期限が決まっていて、使える資金も決まっていて、そこに向かってスケジュールを引くんですよ。工数を見積もってスケジュールを出すのではなくて、これだけの利益を出すにはこれだけの資金と人員で終える必要ありますねってスケジュールを作るから追加人員は出ないんです。

じゃあ対策する気もないのになぜ進捗管理しているのかっていうと他の目的があるからって考えることが妥当だと思います。進捗管理という不要な仕事を作ることによって、子飼いのポストを増やすってのがあったりしますし IFRS が今ではあります。この IFRS ってのが進捗管理の連中の最大の言い訳であり錦の御旗であり飯の種になってる気がするんですよね。進捗報告する側からすれば糞の役にも立ってないのに。

面白い話があって、プロジェクトに参画して直ぐに 1 人ぐらい人を追加した方がいいですねって言ったら、言い分 A で断られて、1 か月後にも同じことを言ったら、言い分 B で断られて、3 か月後にスケジュールが差し迫って遅延が顕在化してる時に同じことを言ったら、言い分 C で断られて、言い訳が A, B, C って変遷するんですけど追加人員は入れないって結論は変わらなかったっていう、あるある話なんですけど。メンバーの残業時間を計算すると 3 か月とか行ってたりしてもね。もちろんプロジェクト始動直後に人員増の判断をくださなかった責任を進捗管理者が遅延が出た時点で取ることはなかったそうです。

進捗管理の原始的なネタとしては、精神的支柱とか、尻を叩いてやる気を出させるとか、悩みを持ってたら解消してやるとか、飯をおごったりコミュニケーショを増やしてやる気を出させるとか、メンバー間のコミュニケーションを円滑にするだとか、色々とある気がしますけど、そういうのってあまり役立たないですよ現実的に。少なくとも俺の勤務する現場では。なんつーか俺が働くレベルの現場にそんなに人間的に未熟な奴ってあまりいないんですよ。たまに若い人の中に少しいますけどね。どちらかというと俺の周りで働いている連中は老獪な人間ばかりです。いくつもの現場を乗り越えて来た傭兵みたいな連中の集まりだから。

それでも多少の意味はあるんですよ。進捗管理者という壁があることで、打たれ役みたいに役立ってくれることもあるにはあって。糞みたいな仕事とは思いますけど。そういう糞みたいな役の立ち方じゃなくて、もっと色々と勝ち取れる人の下で働けるのは幸運だと思います。でもいないよりマシ程度ではあります。

進捗管理ってのは、はっきりと負担としてメンバーに影響があるんですよ。日々進捗管理とか重いから。1 か月で考えればメンバー 1 人当たりで 80 時間つまり 10 日間ぐらいは進捗管理で使う現場もあるかも。1 月の半分は進捗管理の仕事とかバカとしか思えないんですが。流石に半分はないと思いたいですけど 1/4 は現実的にあると思います。1/4 でも馬鹿だと思いますけど。それでも正しく報告することでメンバーにメリットがあればいいのに何もメリットがないって現場もあるでしょう。時間を無駄に使って正確に遅延を進捗報告したら尻を叩かれただけでした、みたいな。

でも他にもあるんですよね。日々進捗報告することで、データ分析とかするって目的がさ。科学的な見積もりの精度を上げるためにデータ収集するみたいな。それはそれで別に良いんですけど。それならメンバーにもっと還元するべきだよねえって俺は思いますよ。

進捗報告とか関係なく、情報連携だとか協力を求めなかったとか、そういう事実の積み上げって大事なんですよ。業界サバイバル技術というか処世術というか世渡り上手というかさ。遅れてますって報告することも同じでね。言ったけど断られました、協力してもらえませんでした、そういう事実を作る、絶対に対策してくれないとしても協力してくれないとしても言うだけ言うってこと。後ね事前報告と事後報告ってのがあって、工数的な影響が大きい話や色々な人に影響がある影響範囲の大きい話みたいなのはなるべく事前報告が良いっていうかね。事前報告のが作業コストが大きくて面倒臭いんですけど。事前報告しておかないと凄い怒られるシチュエーションってのはあります。

そういう糞溜めみたいなところなんですよ会社ってところは。会社で社会の歯車として働くってのは糞まみれになるってことです。それが嫌だったら自営業になれってことなんだと思います。